接点ポートフォリオ
アクチュアリー資格試験の第1次試験には「会計・経済・投資理論」という科目があり,「投資理論」分野では2資産ポートフォリオのリスクとリターンに関する問題が出題されることがある。
この記事では,「接点ポートフォリオ」について説明する。
2 個のリスク資産 X, Y からなるポートフォリオの期待リターンと標準偏差を考える。
資産X, Y のリターンをそれぞれ確率変数 , で表す。
の期待値を , 標準偏差を とする。
の期待値を , 標準偏差を とする。
と の相関係数,共分散をそれぞれ , とする。
2 個のリスク資産からできる投資可能領域は( かつ のとき)双曲線で表される。
安全資産のリターン(リスクフリー・レート)を定数 で表す。
証明
資産 X, Y への投資比率をそれぞれ , とすると,ポートフォリオの期待リターンは , 分散は である。
期待リターンの式を投資比率 について解き,分散の式に代入すると,
となる。(これを整理すると双曲線の方程式 になる。, は定数。 は最小分散ポートフォリオの期待リターン。)
両辺を で微分すれば双曲線の接線の傾きが得られる。
接線(の傾き)が接点T と安全資産 を通る直線(の傾き)と一致することから上記の結果が得られる。